これが、あたしの彼氏です。- 2 -
「はあ…っ、はあっ」
ザァァっと打ちつけるような雨が降り続く中、あたしは息を切らすのもお構いなしに矢沢君が待っていると言っていた山本駅の近くにある公園を目指した。
「はあ、…っ」
数分間走って走って走り続けて、差ほど遠くはない公園が見えて来たところであたしは一旦息を整えるためピタリと足を止めた。
傘を差しているにも関わらず、全力疾走で走ってきたため、服が濡れてしまっている。
「はあ…っ、やざわくん、」
矢沢君の名前を呟いて、あたしは公園の中へと足を進めた。電灯があまりない公園を見渡すけれど、肝心の矢沢君の姿は見当たらない。
「はあ……、」
(やっぱり、この大雨でさすがに帰ったんだ…)
そんな事を思いつつも、キョロキョロと暗い公園を見渡していると、
「………あ、」
不意に遠くのベンチの方に座っている人影が目に入った。
暗がりと大雨の所為で視界が悪く、あたしが目を凝らしながらそこをじっと見つめると、――――かすかに見えた、見慣れた制服と茶色の髪。