これが、あたしの彼氏です。- 2 -
「………っ!!」
あたしはその姿を捉えた瞬間、一気に背中が冷えていく感覚がした。
「……っ、矢沢君…!!!」
あたしが大きな声でそう叫ぶと、ベンチに座っていた彼はゆっくりと顔を上げた。
「や、ざわくん…っ」
あたしが急いで矢沢君の元まで駆け寄ると、大雨に打たれて全身びしょ濡れの矢沢君がそっと口を開いた。
「…おっせぇよ」
「ご、ごめ、ごめんなさい…っ」
「…さみぃ」
「…っ、」
矢沢君のその言葉にあたしはバッと傘を矢沢君の頭上に持って行くと、いきなり矢沢君の腕があたしの方へと伸びてきた。
「……わっ、矢沢く…っ」
そして一瞬も束の間、あたしは矢沢君の腕の中へと抱きしめられた。