これが、あたしの彼氏です。- 2 -


「じゃあ、こうしたら信じるかよ」

「…えっ、」

矢沢君はいきなりそう言うと、握っていた拳をグイッと引っ張りあたしを矢沢君の腕の中へと引きずり込んだ。ついさっきと同じ腕の中へ閉じ込められて、あたしは顔の温度が急激に上昇してしまう。


「……俺の心臓の音、聞こえるだろ」

「…え、」

抱きしめられた腕の中で、矢沢君が小さな声でそう囁いた。

「俺の心臓、今すげえ速さで動いてんのわかる?」

「……っ」

ドクドクドクドク、とあたしより早いスピードで矢沢君の心臓が動いているのが伝わってくる。

「好きな女に慣れねえ告白してるからだよ」

「……っ!」

一瞬、涙が出そうになった。

嫌でも伝わって来る。矢沢君の鼓動が凄い速さでドクドクと高鳴っているということ。矢沢君も、物凄く緊張しているということ。

凄く、凄く、もう十分だと言いたいくらいに、伝わってくるよ…―――――
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