これが、あたしの彼氏です。- 2 -
溢れて来る涙で矢沢君の肩を濡らしていると、「お前泣いてんのか?」と薄く笑って、あたしの頬を流れる涙を親指でそっと拭ってくれた。
「ほんとどうしようもねえ奴だな」
矢沢君は笑いながらそう言ってあたしの頭をポンポンと撫でると、必然的に上を向いたあたしと矢沢君の視線が重なる。
あたしはそんな愛しいものでも見るような目で此方を見つめて来る矢沢君から目が離せないでいると、
「――――お前は、俺に何か言う事ねえの?」
不意に顎をクイっと持ち上げられた態勢で、そう問い掛けられた。
「…えっ」
矢沢君はまるで、あたしの気持ちを知っているかのような口調で自身ありげにそう告げる。
いきなりのことで、あたしは一気に顔が熱くなってしまう。
「……えっと、」
どうしよう、何て言えば良いのか分からない。たった二文字の言葉だと言うのに、今まで告白をした事がないあたしにはハードルが高すぎる。