これが、あたしの彼氏です。- 2 -



「……矢沢君」

「ん、」

あたしの言葉を待って口を開かずに居てくれた矢沢君は、あたしの呼び掛けにそっと反応してくれた。そんな矢沢君にあたしは物凄く緊張して、一瞬息をゴクリと呑み込んだ。


あたしは矢沢君をじっと見つめて、―――これほどまでにない決死の覚悟で口を開いた。

「………矢沢君」

ドクンドクンドクンと、一定時間を保って跳ね上がる心臓。あたしは深呼吸するかのようにそっと息を吐き出した。


「……矢沢君、あたし…」

「ああ」

熱でも出たんじゃないかと思うくらい、顔が火照ってしまう。


「…あたし、矢沢君の事…、」

「…………」

―――ああ、また涙が零れてしまいそうだ。


「………凄く、凄く…っ、好きです…っ」


その二文字の言葉と共に、涙が一筋零れ落ちた。
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