これが、あたしの彼氏です。- 2 -
そんな矢沢君の体温に少し安心しつつも、あたしは背中に回した手に力を込める。
そこから数秒間ただ抱きしめ合っているだけの時間が過ぎると、矢沢君がそっと口を開いた。
「これからは、本当の恋人同士だ。お前はもう俺のもんだ」
「…っ、矢沢君、よくそんな恥ずかしい事が言えるね」
「本当の事なんだから仕方ねえだろ」
「……っ」
あたしがそんな矢沢君の言葉に赤面していると、矢沢君に耳元で「顔真っ赤」と囁かれてしまった。あたしはそんな指摘にますます顔が熱くなってしまう。
矢沢君はいつも雷みたいにあたしの鼓膜を犯してくる。
「――――――心、」
すると不意に優しい声で名前を呼ばれ、あたしが真上にいる矢沢君にそっと視線を移すと、何故か真剣な顔をした矢沢君にジッと見つめられてしまった。