これが、あたしの彼氏です。- 2 -
「おい。心、大丈夫か」
「……ううん」
「案外脆いんだな、お前」
「なっ、もうほんと死ぬかと…!」
「落ちただけだろうが」
「そ、それが問題なんだってば」
恐怖と言うものを知らないのかもしれない矢沢君は死にかけのあたしに淡々とそう言って来る。
こっちは矢沢君の所為で遊園地に来て早々体力半分ダウンだ。
「次、行けるか」
ベンチに腰掛けて俯くあたしに、矢沢君はいきなり目の前にしゃがんでそう言って来た。
あたしの前にしゃがんだ矢沢君と必然的に視線が重なり、あたしはいつもとは違う私服の矢沢君の姿に今更ながら少しドキッとする。
「うん、大丈夫」
「そうか。さっきは俺が無理やり乗せたから、次はお前が決めて良い」
「え、ほんとっ?」
「ああ。俺もなるべく文句は言わない」
「絶対だよ?」
「何だ。お前そんなにメリーゴーランド乗りたかったのか」