これが、あたしの彼氏です。- 2 -
お化け屋敷に入ると、何とも言えない生ぬるい風があたしの横をスっと通り抜ける。
「お、置いてかないでね」
「ああ。お前が変な行動さえしなければな」
「…何もしなくても、置いて行かれそう…」
「あ?」
あたし達が入ったお化け屋敷は廃校となった学校をイメージしているらしく、その所為もあってか滲み出ている雰囲気が物凄く怖い。当然のように辺りは真っ暗で足元しか見えていない状態。
そんな何が起こるか分からないお化け屋敷の中で、この怖がりなあたしが平然と居られるわけもなく。
「矢沢君、隣に居るよね」
「ああ」
「後ろじゃなくてちゃんと横に居るよね」
「ああ」
「や、矢沢君……」
「何だよ、うるせぇな。少し黙ってろ」
「………う」
眉間にギュッと皺を寄せた矢沢君に、ちょっぴり怒られてしまった。