これが、あたしの彼氏です。- 2 -


その後、何とか白い着物を着たお化けからは解放されて、それからもあたし達は色んなお化けに追いかけられた。もう失神するのも時間の問題だと思う。


「………腕が痛い」

「………う、怖い」

「おい。腕が痛い」

「だ、だって離したらきっと矢沢君先に行っちゃうもん…」

「行かねぇよ」

落ち着いた通路をトボトボと歩きながら、あたしは矢沢君の腕にガシっとしがみ付いていると、隣の矢沢君は呆れたように「はあ」と溜め息を吐き捨てた。

「……早く出たい」

「もうすぐだろ」

「失神しそう」

「しない」

それからの数分後、ようやく出入り口が見えて来て、あたしはホッと一安心した。

お化け屋敷を出る手前、最後の最後に出て来た一番怖いお化けに矢沢君は肩を触られたらしく、それが凄く気に障ったのか矢沢君はいきなり「あぁ?」と触って来たお化けにガンを飛ばした。そんな事が最後にあった所為で、逆にこっちの方がお化けに怖がられてしまった。

そんな可笑しな風景に、あたしはちょっぴり恐怖が和らいだんだけれども。
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