これが、あたしの彼氏です。- 2 -
「や、やっと出れた……」
「凄かったのは、雰囲気だけだったな」
「いや、十分怖かったよ。あ、それと矢沢君、お化けを睨むのは良くないよ。逆にこっちの方が怖がられてたよ…」
「うるせぇな。俺を怖がらせようとするのが悪い」
「じゃあ何で入ったの?」
「面白そうだったから」
「…………」
不意に淡々とそう言う矢沢君に、あたしはついピクリと顔が引きつってしまった。こっちは、目の前の恐ろしい恐怖に物凄く必死だったと言うのに。
「矢沢君の所為で、あたしがどれだけ恐怖に満ちたか」
「俺の所為にするな」
「なっ、だって矢沢君が無理やり…」
「次、何処行くか、今度はお前が決めろ」
「え。あ、うん」
いきなり話をひっくり返して来た矢沢君にあたしは何だか腑に落ちないながらも、何に乗りたいか懸命に考えた。辺りをキョロキョロと見渡していると、不意にあたしの興味を引く看板が目に入る。
「あ!じゃああれがいい、あそこのゴーカート!」
「………」
「車運転出来るんだよ。ねぇ行こう?矢沢君」
「お前は何でそう子供向けの乗りものしか選ばないかな」
「え、ゴーカートって子供向けなの?」
「……もういい、ゴーカートだな。だったらさっさと行くぞ」
「うんっ」