これが、あたしの彼氏です。- 2 -
ついさっきお化け屋敷で恐怖を味わったのもサッパリ忘れて、あたしは矢沢君とゴーカート乗り場の前までやって来た。
「あ。二人乗りだって。予想外」
「じゃあお前が運転しろ。俺はその隣に乗っとく」
「え、良いの?あたしが運転しても」
「別に。お前が乗りたかったやつなんだから、勝手にすればいい」
「あ、うん。じゃあ矢沢君助手席ね」
「ああ。ゴーカートって助手席とか言える程本格的じゃないけどな」
その後、あたし達は無事ゴーカートに乗り込み車を発進させた。――ところまでは良かったのだが。
「…あ、すみません」
ゴーカートに乗ってから数分も経たないうちに、ゴツンと言う鈍い音が何度もあたしのところで響く。
「下手くそ。どれだけ他人とぶつかれば気が済むんだ。お前は」
「だ、だって結構難しいんだもん!下手くそとか言うなら矢沢君が運転すれば良かったのに」
「……やだ。面倒臭い」
「むっ」
それからもあたしはゴツゴツと色んなところに車をぶつけながらも、ゴーカートをめいいっぱい楽しんだ。