音色
「琴音、今日何時ぐらいに帰ってくる?」

仕事に行くあたしに奏は聞いた。

「ん〜20時ごろかな?…なんで?」

「金曜日だし、明日休みだよね?」

「うん、そうだけど…」

「じゃ、デートしよ!20時に駅で待ってるね!」

奏はそれだけ言うと強引にあたしを家から出した。

「もう…」

とあたしはため息半分でそう言ったけど、少しだけ楽しみにしているあたしがいた。
仕事は一生懸命やって、気付けば19時。
あたしは慌てて会社を出た。

残念なことに、車窓から見えたのはしとしと降る雨。

(会社から出たときは降ってなかったのに…)

雨は少し苦手。
気分が重たくなるから。
せっかく奏がデートをしようと言ってくれたのに、雨が降るなんて。
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