音色
部屋に帰るとようやくあたしのことを下ろしてくれた。


「かっ、彼女いるくせに!奏のバカ‼︎」

「は?彼女?」

「あたし、昨日見ちゃったんだから‼︎奏が女の子といるところ」

あたしがそう言うと、奏はちょっと考えてから

「琴音、嫉妬してるの?」

と言った。
ちょっと余裕があるような奏の態度がなんだか癪に障る。

「しっ、してないもん!」

思わず声が大きくなる。

「はいはい」

「彼女いるのにあたしと住んでて平気なの?」

「何?気になるの?」

「違うもんっ‼︎あたしはそんなのちっとも気にしてないし、奏に彼女がいたって関係ないもん」


そう強がって言ったのに、それとは逆に涙がぼたぼた落ちてきた。
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