音色
あたしは、街中を走り回った。
だけど一向に奏は見つからない。


「奏ーっ‼︎奏ーっ‼︎」


人目も気にせず奏の名前を呼んだけど、奏の姿はどこにもなかった。



そういえば、昨日奏があたしを抱えた時、うっすら背中に汗をかいていた。
もしかしたら奏も、こんな風にあたしのことを探してくれたのかもしれない。
それなのにあたしは奏を責めることしかしなかった。

そう思ったら、奏に申し訳ない気持ちが溢れてきてまた涙が出てしまった。
あたしは、また走り回ったけど結局奏を見つけ出すことはできなかった。

仕方なく部屋に向かってとぼとぼ歩き出した。
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