音色
途中、あの小さな公園に寄った。


(もう、二度と奏に会えないのかな…)


噴水の水に映った月を見ながら思った。
どうせいつかはお別れする時が来るだろうけど、それならこんな終わり方はしたくなかったなと思った。
公園を出れば騒がしいのに、ここだけが別の世界みたいに静かだった。





「…琴音?」



結構な間、奏のことを考えていたらあたしの名前を呼ぶ声がした。

「奏?」

「そんな薄着でこんなとこにいたら風邪ひくよ?」

「だって、待っても待っても奏が帰ってこないんだもん」

「…ごめん。今日遅くなるって言おうと思ったんだけど起きたら琴音がいなかったから」

「よかった…。奏になんかあったらって」

「ごめんね琴音」

「もう帰ってきてくれなかったらどうしようかって…」

涙で声が詰まってしまう。
悪いのは子供じみた事をしたあたしなのに、奏は何度も何度も謝っていた。
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