音色
「そんな人じゃないって直感で思ったの。それに、あたしは自分で決めたことは後悔したくないからどんな結末が待ってたって信じるの」

と奏に言った。

「ふーん…そっか」

奏はそう言った。
あたしは、そう答えたあとに恥ずかしくなったけど伝えたことは本当の気持ちだった。







「俺、そろそろ出て行くね」


数日経った夜に突然奏に告げられた。

「え…」

「琴音が優しいからもうちょっと、もうちょっとって先延ばしにしちゃってた」

「やだよ…」

「いつまでも琴音に甘えてらんないから」

「やだっ!行かないで!行かないでよー…」

あたしは子供みたいにわんわん泣いた。
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