音色
そんなあたしを奏は優しく抱き寄せた。

「泣かせてばっかでごめんね」

奏はあたしにキスをした。
なんでだろう。
奏にキスされると腰が抜けそうになる。
おもわず床にへたり込むと、奏はあたしのおでこや頬にキスしてくる。

「奏、くすぐったいよ〜」

「ん、くすぐったい?」

そう言って奏はまたあたしに唇を重ねる。
さっきのキスとは違って、奏の舌があたしの唇を割って入ってくる。
奏の舌があたしの舌を優しく撫でる。

「んっ…」

思わず吐息が漏れた。

「…ごめん。こっから先は特別な人としないとダメだよね。俺みたいなどうでもいいやつなんか」

「え…」

「寝よっか」

そう言って奏はあたしから離れた。

(奏は、どうでもいい人なんかじゃないのに)


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