音色
「そろそろ行こっか」
1日なんてあっという間。
楽しい時間はすぐに過ぎてくって言うけど、奏のその言葉はあたしたちの恋人ごっこがもうすぐ終わるっていうことを告げてるみたいだった。
外に出ると、雨がさらさら降ってきた。
「琴音、走ろう」
奏はそう言ってくれたけど、あたしは走り出すことが出来ずに立ち止まっていた。
「奏、ここでいいよ!奏の車濡れちゃうし、ここからならひとりでも帰れるから」
あたしは精一杯の笑顔を作った。
ちゃんと笑えてるかな、奏が好きだと言ったこんな雨の中であたしは奏の瞳に綺麗に映っているかな、と思いながら。
あたしは奏に背を向けて歩き出した。
それと同じぐらいに涙がはらりとこぼれた。
「ひとりでなんて帰さない」
あたしの腕を掴んで、奏は車に無理やりあたしを乗せた。
奏が車を走らせたのはあたしの家とは違う方向だった。
「あれ…?」
「俺んちの方が近いから」
奏はそう答えた。
このまま送り届けてくれればいいのに、何でわざわざそんなことするんだろう。
もう、恋人ごっこは終わりにしてくれていいのに。
1日なんてあっという間。
楽しい時間はすぐに過ぎてくって言うけど、奏のその言葉はあたしたちの恋人ごっこがもうすぐ終わるっていうことを告げてるみたいだった。
外に出ると、雨がさらさら降ってきた。
「琴音、走ろう」
奏はそう言ってくれたけど、あたしは走り出すことが出来ずに立ち止まっていた。
「奏、ここでいいよ!奏の車濡れちゃうし、ここからならひとりでも帰れるから」
あたしは精一杯の笑顔を作った。
ちゃんと笑えてるかな、奏が好きだと言ったこんな雨の中であたしは奏の瞳に綺麗に映っているかな、と思いながら。
あたしは奏に背を向けて歩き出した。
それと同じぐらいに涙がはらりとこぼれた。
「ひとりでなんて帰さない」
あたしの腕を掴んで、奏は車に無理やりあたしを乗せた。
奏が車を走らせたのはあたしの家とは違う方向だった。
「あれ…?」
「俺んちの方が近いから」
奏はそう答えた。
このまま送り届けてくれればいいのに、何でわざわざそんなことするんだろう。
もう、恋人ごっこは終わりにしてくれていいのに。