音色
奏は、部屋に入るとタオルを渡してくれた。

「服、乾かすから脱いで。シャワー浴びてきなよ!…あ、女の子用の洗顔とかはないけど」

「………あったら、怒る」

「えっ?」

「だって、今はあたしが彼女だもん」

あたしはそう言った。

「シャワー、借りるね」

自分で言っておきながら泣き出しそうになるのを堪えてお風呂場に逃げた。
シャワーを出して頭から思いっきり浴びた。
あったかいお湯と一緒に、あたしの涙も全部流れてしまえばいいのに。

そんなとき、バタンと扉が開いた。

「ちょ、ちょっと奏!」

あたしの言葉を無視して、奏はあたしを壁に追いやった。

「んんっ!」

あたしの腕を掴んで奏は荒っぽくキスをしてきた。
苦しくて唇を離しても奏はすぐに唇を塞いだ。
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