音色
奏は、あたしを押し倒すとさっきとは違って優しくあたしの体をなぞった。

「ん…奏っ…」

「琴音…っ」

奏が深く入る度、涙がどんどん流れて止まらなかった。
身体が気持ち良くなればなるほど、奏との終わりが近づいてるような気がして。



翌朝は、雨が嘘みたいに晴れた。
あたしたちの恋人ごっこは終わり。


「じゃ、帰るね」

「送る!」

「いい!そんなことしてもらっちゃったら、離れられなくなっちゃうから」

あたしがそう言ったら、奏は黙ってしまった。

「本当にありがとう。奏と一緒にいられて毎日楽しかった!それじゃーね」

あたしはにこっと笑って、奏の部屋を出た。
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