音色
「じゃ、電気消すね」

そう言って部屋の明かりを消した。
あたしと奏はソファーとベッドを交互に使うことにしていた。
今日はあたしがソファーで奏がベッドの日だった。
ブランケットを掛けて目を閉じた。

「……琴音、寝た?」

「ん…起きてるよ」

「こっち、来なよ」

「えぇー‼︎」

「来て、琴音。お願い」

ちょっと甘えたような奏の声。
そんなふうに言われたら拒否するわけにもいかなくて、あたしはベッドのそばに寄った。

「一緒に寝よ?」

「えぇ‼︎」

「ヤダ?」

「嫌じゃ…ない」

あたしの答えを聞くと、奏は布団を上げてあたしが寝られるスペースを空けた。
あたしは引き寄せられるように奏のいるベッドに潜り込んだ。

奏が一体何者なのかわからないのに、そんな人とひとつのベッドで一緒に寝ている。
絶対そんなことしないはずなのに、自分のしていることに驚いた。
恥ずかしくて奏に背を向けているあたしの腰に、奏はそっと腕を回した。
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