その消しゴム1mmに誓って
先ほどの雰囲気とは打って変わったゴミという単語が遥のクラスを見回す鋭い視線と共にクラスメートに刺さった。
「みんなは金田君が宇川君にいじめられてるの知らないのかな?きっと知らないんだろうね。だから金田君信じられないんだね。知ってたら常識的に疑うのは宇川君だし。でもいじめに気付かなかったって事はお前らの目は節穴だったんだね。いじめ知ってて今まで黙ってた私もゴミだし、いじめに気付かなかったお前らもゴミだね。結局さ、こんな自体にしてしまったんだからどっちの味方したって無駄だね。」
刹那の沈黙がクラスメートの背筋を凍らせた。拓真は光希に背を向け顔色を悪くしている。
「み、水嶋!口を慎め!このクラスにいるのは仲間だぞ!みんなに謝れ!」
「黙るのはてめぇだろ。」
遥は教師の顔をギッと睨みつけた。
「別に正義ぶるつもりもないですけど、これは流石におかしいでしょ。」
今度はニコリと微笑んで静かに席についた。遥を見るものは誰も居なかった。見兼ねた教師が無理に終わらせ自習の時間にしたため、クラスの中は何事もなかったようにいつもの風景へ戻った。
「水嶋、ありがとう。」
光希は避けられるようにして一人でいた遥に頭を下げた。
「別に金田君のためじゃないよ。ちょっと気に食わなかっただけだし。ていうか、私今まで助けたことないのによくお礼言えるね。」
「そういうあれじゃなくてさ、今回は本当に水嶋のお陰だからさ。」
「まあ金田君はそういう人だよね。昔から変わらない。それよりこんなところに居ていいわけ?最近いい友達できたんでしょ。朝から機嫌悪そうにしてるけどね。」
遥が顎で示した方向には黙って窓を見つめる拓真の姿があった。
「私がいうのもどうかと思うけどさ、友達は大事に。だよ。彼しかいないんでしょ。」
遥はイタズラに軽く笑うと、手元にあった小説を読み始めて光希を拓真の元へ追いやった。
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