一般人令嬢は御曹司の婚約者
「遅い!」
目の前で仁王立ちの御曹司。
彼の状態を認識して、少し視線をずらす。
「……前を隠しなさいよ、年頃の女の子相手に恥じらいってものがないの? ワン」
「俺は見られて恥ずかしいものなんてもってない。それよりなんで、服を脱いでないんだ」
「その見るに耐えないものを仕舞ってくれ、とお願いしておりますのがわかりませんか? それに生憎、わたくしは使用人なもので掃除以外で大浴場には入れませんワン」
「お前は俺の犬だろ、飼い主の俺がいいと言ってるんだからいいんだ」
「お背中お流しすればよろしいんでしたよねワン」
「ああ」
手を伸ばそうとした御曹司をすり抜け、大浴場に入る。
私は人前で脱ぐ趣味はない。
また変なことを要求される前にとっとと終わらせるに限ります。
さあさと御曹司を促して椅子に座らせる。
シャワーから出るお湯で目の前の背中を流し、ボディーソープをプッシュする。
無言が嫌なのか御曹司が雑談を始めた。
「こういうとき、胸にボディーソープを塗りつけて、俺の背中をギャー!!」
「放送禁止用語な予感がした、ワン」
「貴様、何をした!」
振り返った御曹司が私の手にある、ボディーソープのかかったものを見つける。
「たわしだと!?」
「安心してください、新品ですからワン」
「問題はそこじゃねぇ!」
「綺麗になりますよワン」
「大怪我するわ!」
「大丈夫ですワン」
「没収!」
「残念………ワン」
御曹司は取り上げたたわしを遠くに放る。
彼の背中に見える赤い筋が、なんとなくおかしかった。
目の前で仁王立ちの御曹司。
彼の状態を認識して、少し視線をずらす。
「……前を隠しなさいよ、年頃の女の子相手に恥じらいってものがないの? ワン」
「俺は見られて恥ずかしいものなんてもってない。それよりなんで、服を脱いでないんだ」
「その見るに耐えないものを仕舞ってくれ、とお願いしておりますのがわかりませんか? それに生憎、わたくしは使用人なもので掃除以外で大浴場には入れませんワン」
「お前は俺の犬だろ、飼い主の俺がいいと言ってるんだからいいんだ」
「お背中お流しすればよろしいんでしたよねワン」
「ああ」
手を伸ばそうとした御曹司をすり抜け、大浴場に入る。
私は人前で脱ぐ趣味はない。
また変なことを要求される前にとっとと終わらせるに限ります。
さあさと御曹司を促して椅子に座らせる。
シャワーから出るお湯で目の前の背中を流し、ボディーソープをプッシュする。
無言が嫌なのか御曹司が雑談を始めた。
「こういうとき、胸にボディーソープを塗りつけて、俺の背中をギャー!!」
「放送禁止用語な予感がした、ワン」
「貴様、何をした!」
振り返った御曹司が私の手にある、ボディーソープのかかったものを見つける。
「たわしだと!?」
「安心してください、新品ですからワン」
「問題はそこじゃねぇ!」
「綺麗になりますよワン」
「大怪我するわ!」
「大丈夫ですワン」
「没収!」
「残念………ワン」
御曹司は取り上げたたわしを遠くに放る。
彼の背中に見える赤い筋が、なんとなくおかしかった。