石田君は2人います。
「ややこしいから、俺のこと、凌って呼べ。」
はぁ!??
凌って…真面目な顔して何を言うんだ、急に。
「急にそんな呼べるわけないでしょ、恥ずかしい。」
「いいじゃん、同期だろ。昔はよく仕事してただろ。」
イライラして歩いていた石田君が、“ナイスアイデア”とも思っているのか、少し楽しそうに笑い始めた。
「無理だよ。」
心の中の呟きが、つい、ぼそっと口に出た。
「凌ってよばないなら、仕事しね~ぞ。」
「酷い!器が狭い!!ちっさい男め!」
心の中の叫びを押さえられず叫んでしまった。
「ってか、人の名前を恥ずかしいから呼べないって言う早乙女に言われたくない。」