石田君は2人います。
どうしてここに
「…………。」
聞きたかったが
あまりの驚きでしばらく動けなかったし、声も出なかった。
「ってか、驚きすぎだし。
俺もリフレッシュ休暇とったの。
傷心旅行ってやつだよ。」
「はぁ、傷心ねえ。
それにしても海辺にスーツは……。」
「いいだろ。
急ぎの仕事とか用事とか全部片付けて、着の身着のままってやつだよ。」
そういって、凌君は靴と靴下、スーツの上着を脱いだ。
ネクタイを外し、ブルーのYシャツの第一ボタンも外した。
「傷心って?彼女と別れたとか。」
「そうだな。彼女とは別れた。」
今度はズボンの裾もいい具合にまくり、なかなか海が似合う格好になった。
イイ男はそれなりの服装でも海が似合うみたいだ。
「ふられたのね。仕事ばっかりしてるからよ。」
「仕事でずいぶん会ってなかったし、話もしてなかったしな。」
「自業自得じゃない。それで傷心してるなんて……。」