石田君は2人います。
「誰かからなんか聞いた?」
「春美から色々と聞いて、ここまできた。」
春美め!なんか、言ったな!
「私、明日の夕方には帰るけど。」
「なら、俺も。一緒に帰ろ♪」
なんだ、そのテンションは。
本当に傷心旅行にしてやろうか!
「さぁ、ホテル帰ろうか。」
「ホテルも同じ?」
「ってか、さっき春美から聞いたって言っただろ。」
すっと凌君が私の手を握った。
「まさか、私達付き合うことになったの?」
「当たり前だろ、もう友達なんだし、あとは付き合うだけだろ。」
「私、返事してなくない?」
「また、好きになるから。大丈夫。」
『また』は余計よ。
わざと言ってるな。
「…………。」
私がなんだか納得いかない顔をしていると
急に繋がれている手を強く引き寄せられた。
気がついたら私は凌君の胸のなかにすっぽり収まり、強く抱き締められていた。
「付き合ってほしい。絶対、後悔させない。」
そう、耳元でそっと言われた。
そんなことされたら
もうギュウ~って胸が苦しくて
嫌なんて言えない。