石田君は2人います。

「……うん……。」
そぅ、必死で声をふりしぼった。


「今日から、俺を好きになってくれればいいから。」


「……うん……。」
というか、もう好きなんですけど。
でも、まだ、それは白状しないわ。



「さて、帰るか。」


いつのまにか太陽は傾きはじめて
ほのかに茜色に色づき始めていた。


「うん。」


「今日、晩飯一緒な。」


「うん。でも部屋は別々よ。」


「は??」


「当たり前でしよ。
友達からでいいってさっき言ってたじゃない。」


「もう、友達だろ!
ってか、友達なら部屋一緒だろ!」


「あんまりガツガツしてると、いつまでたっても好きになんてなれないわ。」


「ッッ!!」



勝った
優位に立ったわ
悪くない気分ね。
私はニヤリと笑った。




石田君は2人います。① (終)











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