クラッシュ・ラブ


そうして、3度目になる、ユキセンセのブローを終えた。
くるくるとコードを巻き取っていると、その間にセンセはワイシャツを纏っていた。

カフスを留める姿に釘付けになる。

自分の父親や、弟の制服もワイシャツだから、目にする機会はたくさんある。
でも、同じなのに、全然違う。

すごい。やっぱり似合う――――。

あまりにカッコよくて見惚れていると、ユキセンセはわたしの視線に気づいて顔を上げた。


「……あんまり着ないから。……ヘン?」
「ぜっ全然!! ヘンなんかじゃないです! むしろすごい似合っ……」


苦笑してセンセは言うけど、わたしはそれを全力で否定する。
あまりに必死になりすぎた自分に気付いて、途中で言葉を止めたから、わたしのほうがヘンに思われそう。


「ふふっ。ありがと」


ちょっとはにかんだように笑って、センセが言った。
そして、ネクタイに手を伸ばし、首に掛けると、難しい顔になる。

白く長い指が持つ、エンジ色のネクタイが映えるなぁ、なんて眺めていると、なかなか結び目が出来ずにいることに気がついた。

骨ばった手を交錯させたりして、どうやらネクタイに苦戦してるようだ。

ただ、わたしはなんにも考えずに、スッとセンセに近づいた。


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