クラッシュ・ラブ

「迷ってるんじゃないの? 今の言い方」
「迷ってなんか……!」


鼻で笑われて、思わずムキになって、キッと睨みつけた。


「ただ……ただ。どうしていいのか……急すぎて、整理がつかなくて」


完全に浮かれてた。
気になる人が出来て、しかも、その人と気持ちが通じ合って。幸せ絶頂で、当たり前にそういう幸せな明日が続くと思っていたから。

杏里ちゃんの出現で、平穏な時間は少しずつ崩れた気もした。でも、正直、この日々を失うほどの危機感はなくて。単なる“嫉妬”程度でおさまる事だと、どこかで安心してた部分もあるんだ。

でも、問題が、第三者からわたしたち“当事者”になったとき――。


「いっこも、自信なくて……」


『これなら勝てる』といった自信が、ひとつも上げられない。
不安定な自分が、ただ隣に居て、幸せな気分に浸ってるだけじゃ、だめなんじゃないの?
そんなんじゃ、そのうち愛想尽かされてしまうんじゃないのかな……。

“ずっと”なんて、あり得ないのかもしれない、とこんなカタチで気付かされた。


「“自信”なんて、備わってるモンじゃないんじゃねーの」
「……え?」


突然、真面目な表情とそれに合う声色で、外崎さんが口を開いた。


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