クラッシュ・ラブ
Crash9.5
意外
*
「――――遅いな」
あれから数十分。
仕事をしようにも、全く集中の波に乗り切れない。
PCの前に座って、立ってうろうろとして。時間を確認して、ソファに腰を下ろして――――の、繰り返し。
なんだ。なんなんだ、この胸騒ぎは。
居ても立っても居られない。けど、オレときたら……。
「――――なんで、聞いておかなかったんだよ……!」
手の中の携帯を両手で握り、額に押し当てて思わず口にした。
今まで連絡手段がなくてもなんとかなってたからって、肝心なところが抜け過ぎだ。
自分の不甲斐なさを携帯にあたるように、ソファの上にボンと投げ捨てる。
くしゃっと、まだ湿っている髪の毛に指を入れ、頭を抱えていたときに家の方の電話が鳴った。
――美希?! ……な、ワケがないか。
ガバッと立ちあがるも、希望の結果ではないことにすぐ気付き、受話器を取りにも動けない。
すると、一定のコール音を過ぎた電話が、留守番機能に切り替わる。
『……ユキ? 寝てんのかー』
あー、澤井さんか……。なんだろう。ネームは一通りOK貰ったはずだし……。あ、もしかして、すでにさっきのいざこざが耳に入って?
オレは杏里ちゃんとのやりとりを思い出し、また溜め息をつく。
当然そんなオレの様子なんか知らない澤井さんは、関係なしにつらつらとメッセージを吹き込んでいく。
「――――遅いな」
あれから数十分。
仕事をしようにも、全く集中の波に乗り切れない。
PCの前に座って、立ってうろうろとして。時間を確認して、ソファに腰を下ろして――――の、繰り返し。
なんだ。なんなんだ、この胸騒ぎは。
居ても立っても居られない。けど、オレときたら……。
「――――なんで、聞いておかなかったんだよ……!」
手の中の携帯を両手で握り、額に押し当てて思わず口にした。
今まで連絡手段がなくてもなんとかなってたからって、肝心なところが抜け過ぎだ。
自分の不甲斐なさを携帯にあたるように、ソファの上にボンと投げ捨てる。
くしゃっと、まだ湿っている髪の毛に指を入れ、頭を抱えていたときに家の方の電話が鳴った。
――美希?! ……な、ワケがないか。
ガバッと立ちあがるも、希望の結果ではないことにすぐ気付き、受話器を取りにも動けない。
すると、一定のコール音を過ぎた電話が、留守番機能に切り替わる。
『……ユキ? 寝てんのかー』
あー、澤井さんか……。なんだろう。ネームは一通りOK貰ったはずだし……。あ、もしかして、すでにさっきのいざこざが耳に入って?
オレは杏里ちゃんとのやりとりを思い出し、また溜め息をつく。
当然そんなオレの様子なんか知らない澤井さんは、関係なしにつらつらとメッセージを吹き込んでいく。