クラッシュ・ラブ
ファンレター
*
受話器を耳にあて、「はい」と答えたあとの雪生を見ると、どうやら親しい人らしい。
【解錠】を押し、ガチャッと受話器を置いた雪生は、深い溜め息をついてわたしを見た。
「……? 誰?」
「……澤井さん」
「え?! さわっ……」
『澤井さん』!!
あの一件から、わたしは当然顔を合わせていない。拒否反応が起こるとかではないけど、どんな顔していればいいのかわからない!
……だって、きっと、澤井さんからしたら、“仕事に邪魔な人間”だもの!
あからさまに動揺したわたしは、落ち着きなくそわそわと辺りを動き回る。
そんなわたしの肩に手を置いて、雪生は「気にしないで。いつもどおりでいい」とは言ってくれたんだけど……。
「よう。今回も原稿無事上げてくれてお疲れさーん……って、あぁ! 取り込み中?」
わたしやカズくんたち同様、勝手に上がってきた澤井さんが、肩に手を置いてる図をみて、冷やかすように言った。
「そんなんじゃないですけど……でも、タイミングは悪いです」
不貞腐れたように雪生が答えると、澤井さんは眉を下げて笑った。
「んだよ、ソレ! まぁ固いこと言わない! いいモン見せようと思ってきたのに」
「いいモン」?? なんだろう、いいものって。
澤井さんがカバンからなにかを出そうとしているのを見て、雪生のことのはずなのに気になってしまって仕方がない。
受話器を耳にあて、「はい」と答えたあとの雪生を見ると、どうやら親しい人らしい。
【解錠】を押し、ガチャッと受話器を置いた雪生は、深い溜め息をついてわたしを見た。
「……? 誰?」
「……澤井さん」
「え?! さわっ……」
『澤井さん』!!
あの一件から、わたしは当然顔を合わせていない。拒否反応が起こるとかではないけど、どんな顔していればいいのかわからない!
……だって、きっと、澤井さんからしたら、“仕事に邪魔な人間”だもの!
あからさまに動揺したわたしは、落ち着きなくそわそわと辺りを動き回る。
そんなわたしの肩に手を置いて、雪生は「気にしないで。いつもどおりでいい」とは言ってくれたんだけど……。
「よう。今回も原稿無事上げてくれてお疲れさーん……って、あぁ! 取り込み中?」
わたしやカズくんたち同様、勝手に上がってきた澤井さんが、肩に手を置いてる図をみて、冷やかすように言った。
「そんなんじゃないですけど……でも、タイミングは悪いです」
不貞腐れたように雪生が答えると、澤井さんは眉を下げて笑った。
「んだよ、ソレ! まぁ固いこと言わない! いいモン見せようと思ってきたのに」
「いいモン」?? なんだろう、いいものって。
澤井さんがカバンからなにかを出そうとしているのを見て、雪生のことのはずなのに気になってしまって仕方がない。