クラッシュ・ラブ
自分の世界に入り込んでいたわたしに、センセの声が届いて背筋を伸ばす。
その態度も、『おかしい』と思われそうだ。
でも、それを取り繕おうとする自分が余計におかしい気がして。
「はっ、は、はい。な、なんですか?」
「ごめん。あの引き出しから、タオルくれる……?」
「タオル?」
「汗が……」
上半身を起こしたユキセンセのTシャツを見ると、確かに汗をかいてる。
え? でも、それだけ見てわかるほどの汗なら、タオルとかじゃなくて着替えた方がいいんじゃ……。
そう疑問を持ったわたしは、取ったタオルを渡しながら言った。
「だけど、着替えもした方が……」
「あー……そっか」
着替えはどこだろう、と、きょろきょろと部屋を見てみる。
――はっ。でも、待って。シャツはともかく、パンツとかはわたしが見ちゃだめじゃない! だめとか以前に、わたしが恥ずかしくて無理だ!
「あのっ、わたし……っ」
勝手に想像して顔から火が出そうになったわたしは、慌てて部屋を出ようとセンセの方を振り返った。
「ん?」
「――――!!」
きゃ、きゃああああっ!
そこにいたのは、恥ずかしげもなくシャツを脱ぎ捨てた格好のユキセンセ。
そんな姿に免疫もないわたしは、声に鳴らない叫びと、目のやり場に困ってパニック状態。
すぐに顔を手で覆って背を向けたから、一瞬だけだったけど。
でも、目に焼き付いてしまった……。
ユキセンセの、ハダカが!