クラッシュ・ラブ
うどんよりも熱いもの?
*
風邪によさそうなもの。
根菜類、しょうが、ねぎ、うどん……りんご。
それらを買い足して、わたしはすぐにマンションへと戻った。
「あ……ただいま……です」
未だになんて言って入るのが自然なのか、わかんない。
気恥かしそうに口ごもりながら言って、そそくさとキッチンへ向かう。
リビングにはユキセンセの姿はなくて、まだ寝てるんだ、と肩の力を抜いてりんごを手にした。
「あ、おかえり」
「!!」
すっかり油断したところに聞こえた声に、またわたしの体は硬直する。
と、同時に、手の中のりんごがキッチンの上にゴロンと転がった。
「……驚かせちゃった?」
そのりんごの動きを目で追って、苦笑するようにセンセが言う。
「ちょ、ちょっとだけ……」
今気付いたけど、ユキセンセって足音あんまりさせないよね。なんか猫みたい。
胸のあたりを、ぎゅ、と握り、『落ち着け落ち着け』と自分に言い聞かせて平静を装う。
「起きてて大丈夫なんですか……?」
「いや……トイレに」
「あ……そうですか……。ああ、なにか食べれますか? りんごは見ての通りありますけど……」
ぎこちない笑顔を向けたわたしに、彼は静かに微笑んだ。
そして、頭を少しかきながら、ぼそっと答える。
「……うん。食べる」
その返事がなんだかこどものようで。見た目は大きいのに、可愛く見えるのはなぜだろう。
こういう感覚、どっかで……。
風邪によさそうなもの。
根菜類、しょうが、ねぎ、うどん……りんご。
それらを買い足して、わたしはすぐにマンションへと戻った。
「あ……ただいま……です」
未だになんて言って入るのが自然なのか、わかんない。
気恥かしそうに口ごもりながら言って、そそくさとキッチンへ向かう。
リビングにはユキセンセの姿はなくて、まだ寝てるんだ、と肩の力を抜いてりんごを手にした。
「あ、おかえり」
「!!」
すっかり油断したところに聞こえた声に、またわたしの体は硬直する。
と、同時に、手の中のりんごがキッチンの上にゴロンと転がった。
「……驚かせちゃった?」
そのりんごの動きを目で追って、苦笑するようにセンセが言う。
「ちょ、ちょっとだけ……」
今気付いたけど、ユキセンセって足音あんまりさせないよね。なんか猫みたい。
胸のあたりを、ぎゅ、と握り、『落ち着け落ち着け』と自分に言い聞かせて平静を装う。
「起きてて大丈夫なんですか……?」
「いや……トイレに」
「あ……そうですか……。ああ、なにか食べれますか? りんごは見ての通りありますけど……」
ぎこちない笑顔を向けたわたしに、彼は静かに微笑んだ。
そして、頭を少しかきながら、ぼそっと答える。
「……うん。食べる」
その返事がなんだかこどものようで。見た目は大きいのに、可愛く見えるのはなぜだろう。
こういう感覚、どっかで……。