クラッシュ・ラブ
恋とスプーン
*
トーン作業というのは、細かくて難しいけど、夢中になってしまう。
いろいろな柄や色をした、シールのような素材のもの。それを、指定された青印の箇所に、指示された模様のものを貼りつける作業。
絵柄に沿って、デザインカッターというもので切り取るのだけど、力を入れすぎたら下の原稿用紙までくりぬいてしまうから、そこだけは特に慎重に。
1センチ未満の箇所もあったりして、本当に細かい仕事なんだと実感する。
だから、真剣になればなるほど、手元と目の距離がすごく近くなってしまって。目と肩が、特に疲れる気がした。
わたしは少ししかやることがないし、時折キッチンに立ったり、洗濯物を取り込んだりと家事も挟むから、そこまで体はつらくないけど……。
あの3人は、比較的ずーっとあの態勢のまま、仕事をしてるわけだから、絶対体はつらいと思う。
派手さはない、地道な仕事。
でも、なんか上手く言えないけど、尊敬してしまう。
「おやつ、食べませんか?」
遠慮がちにわたしが言うと、カズくんが一番に顔をあげて言った。
「食べる!」
いつも明るくはきはきしたカズくんは、今も手を真っ直ぐに上げて、笑顔。
「俺も、これ終わったら貰うかなぁ」
ヨシさんは、手を休めずにいるけど、いつでもちゃんとわたしのことを気に掛けてくれてると思う。
「…………よし」
そして、ユキセンセ。
相変わらずのマイペースな間合い。仕事中は少しぶっきらぼうにも感じるけど、オフになると――――……。
「……なに?」
「え、と、ババロア……なんですけど」
「――――食べる」
……ちょっと、可愛い。
トーン作業というのは、細かくて難しいけど、夢中になってしまう。
いろいろな柄や色をした、シールのような素材のもの。それを、指定された青印の箇所に、指示された模様のものを貼りつける作業。
絵柄に沿って、デザインカッターというもので切り取るのだけど、力を入れすぎたら下の原稿用紙までくりぬいてしまうから、そこだけは特に慎重に。
1センチ未満の箇所もあったりして、本当に細かい仕事なんだと実感する。
だから、真剣になればなるほど、手元と目の距離がすごく近くなってしまって。目と肩が、特に疲れる気がした。
わたしは少ししかやることがないし、時折キッチンに立ったり、洗濯物を取り込んだりと家事も挟むから、そこまで体はつらくないけど……。
あの3人は、比較的ずーっとあの態勢のまま、仕事をしてるわけだから、絶対体はつらいと思う。
派手さはない、地道な仕事。
でも、なんか上手く言えないけど、尊敬してしまう。
「おやつ、食べませんか?」
遠慮がちにわたしが言うと、カズくんが一番に顔をあげて言った。
「食べる!」
いつも明るくはきはきしたカズくんは、今も手を真っ直ぐに上げて、笑顔。
「俺も、これ終わったら貰うかなぁ」
ヨシさんは、手を休めずにいるけど、いつでもちゃんとわたしのことを気に掛けてくれてると思う。
「…………よし」
そして、ユキセンセ。
相変わらずのマイペースな間合い。仕事中は少しぶっきらぼうにも感じるけど、オフになると――――……。
「……なに?」
「え、と、ババロア……なんですけど」
「――――食べる」
……ちょっと、可愛い。