クラッシュ・ラブ
「ミキちゃん!」
「だな!」
なにも言わなくても、カズくんとヨシさんの間では通じ合ってるらしくて、“名案”とでもばかりに明るい顔を向けてくる。
そんな二人を見ると、なんだか似ていて、兄弟のように思えてしまう。
「なにか……?」
「ミキちゃんに来てもらえばいいんじゃないスか、センセ!」
「俺もカズも忙しいから……って、ミキちゃんがヒマそうとかそういうんじゃないよ?」
身を乗り出すようにしてカズくんはユキセンセに言うと、センセは特に大きな反応もせずに、「んー」と渋い声を出すだけ。
ヨシさんがわたしにひとこと添えたけど、なんとなく、流れが前回の取材のときのような感じがする。
本当に忙しいのもあるんだろうけど、単に面倒なのかもしれない。
「迷ってるヒマもないんじゃないんスか? いつでしたっけ?」
「……今週の金曜日」
「え! 今週って……もう日付変わるから、5日後じゃないスか! なら、もう、ミキちゃんにお願いしたらいいっすよ! ねぇ?」
「え? あ、はぁ……」
一方的に話が進んでいるけど、わたし、全然話が見えないんですけど……。
要は、そのなんだかっていう大事な日に、寝坊しないようにセンセを起こしにくればいいって話?
別にそれは構わないけど、果たしてそれをユキセンセが望むかどうかで――。
わたしはひとりでおろおろとしていると、ユキセンセがカラン、とスプーンをお皿に置いた。
少ししてから、ゆっくりとわたしの方を振り向いて顔を上げる。