㈱恋人屋 ONCE!
「ここだ、ここ。」
今度は横から声がした。見ると、そこにはカジュアルな服で腕を組みながら壁に寄り掛かる理さんがいた。
「も~、どこにいたんですか?」
「俺は初めからここにいた。お前を待つためにな。」
理さんは私の方に歩きながら言った。
「で、でも、さっきはいませんでしたよね…?」
「ギャップだ、ギャップ。」
「ギャップ?」
「科学者だから白衣を着てるはず、とか思ってただろ?」
「…確かに…。」
「だったら見つけられないのは当然だろ。」
「じゃあ、声は…?」
「これだ。」
理さんは手に握っていたものを私に見せた。それは、手のひらサイズのスピーカーだった。
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