㈱恋人屋 ONCE!
そして、明細をもらった日から一夜明けた。
「じゃあ、行ってきます!」
ご指名がかかり、私は更衣室へと部屋を出ようとした。だがその時、菜月くんにまたしても引き留められた。
「何?」
「…今日の人、何が何でも味方につけろよ。滅多にないチャンスなんだからな。」
「それくらい分かってるって。…じゃあ、行ってくるね。」
「ああ。気をつけてな。」
階段を駆け下り、今日のお客様を探す。
「えっと、あの人だったよね…。」
画面で見た情報を頼りに、私はどうにか探し出すことに成功した。
「あ、あの…。」
「紗姫さん…?」
「は、はい。」
にっこりとほほ笑むその顔は、一切の曇りがなかった。…何としても、味方につけよう。
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