㈱恋人屋 ONCE!
「俺達ってさ。」
自販機で買ったコーヒーを飲みながら、郁馬が言う。
「子供の頃から、意外と変わってないよな。」
「そう?私はそうでもないと思うけどな…。」
「ん?俺変わったか?」
「変わったよ。」
子供の頃はそんな概念自体が無かったが、今の私には、郁馬はとてもカッコよく見える。
「紗姫は変わってないけどな。」
「子供っぽいってこと?」
「馬鹿、違うって。」
郁馬は一息ついてから続けた。
「今も昔も、先は俺にとって大切な存在だってこと。」
「えっ…。」
「ああ。」
郁馬の目に、曇りはなかった。
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