㈱恋人屋 ONCE!
「…何やってんだ?」
唇を離し振り返ると、そこには菜月くんがいた。私はできるだけ何も知らないような顔で答えた。
「何って…普通に仕事だよ?」
「それは分かってる。」
菜月くんが私の手を引く。
「ひゃっ!」
「ちょっ、おい、待てって!」
郁馬の声も、菜月くんには届かなかったようだ。
「な…何…?」
木の陰に連れられた私は、菜月くんに尋ねた。
「…何でキスなんかしてたんだ、あの人と?」
「…郁馬とキスしちゃいけないの?しかも、あっちの頼みだよ?」
「それが狙いなんだ。」
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