㈱恋人屋 ONCE!
…とんでもないことを、私は聞いてしまった。
恐らく郁馬は、今の間に私が抱いている復讐心を読み取ったはず。だとすれば…。
「心配するなって、紗姫。強力な助っ人が、一人増えたってことだろ?」
「そうだけど…。」
いくら幼馴染とはいえ、私の秘密を知られるなんて…いや、幼馴染だからこそ、嫌なのかもしれない。
「紗姫の元依頼人から聞いたから、今俺が言った情報は確かだ。ただ…。」
郁馬は視線を落とし、言った。
「今ので…紗姫を傷つけたなら、ごめん…。」
「…。」
菜月くんのこんな姿、初めて見た。
「…って、何言ってんだ、俺。協力者が増えて、グッドニュースなんじゃないのかよっ…!」
菜月くんの目から頬を伝い、涙が落ちた。
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