㈱恋人屋 ONCE!
菜月くんは会社に戻り、また私と郁馬、二人になった。
「紗姫。」
「ん?」
「さっきは邪魔されたから…もう一回いいだろ?」
「えっ…?」
再び、郁馬の唇が私の唇に触れる。さっきとは違う、まっさらなキス…。
それでも、やっぱりキスに慣れていないのか…。
「きゃっ!」
郁馬を抱きしめた拍子に、私は思いっきり転んでしまった。ただ、私は郁馬を離さなかった。
「…何でこうなるの?」
「俺が聞きてーよ、それ。」
「選んだのはそっちでしょ?」
「誰もこんなつもりじゃなかったんだからな?」
「…も~。」
キスが生んだ、ちょっと幸せなハプニングだった。
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