㈱恋人屋 ONCE!
気がつくと、午後七時。私達は、夜の公園のベンチに腰掛けていた。
「飲む?」
「あ、どうも。」
自販機で買ったキャラメルマキアートの内一つを大地くんに手渡す。
「…あのさ。」
答えにくい質問だと分かっていながらも、私は聞いてみた。
「何で…私とデートしたの?」
「…。」
「あ…言いにくかったら別にいいよ?ちょっと個人的に気に…。」
「アイツが奪ったものの正体を、見たかったからです。」
「…?」
大地くんは星のない夜空を見上げ、話した。
「俺…全然モテなかったんです。この話をしたら、たいていの人は『そんなの嘘だ』って言うんですけど…。でも、本当なんです。」
「私は…信じてるよ?」
「よかったです。」
大地くんは微笑み、話を続けた。
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