㈱恋人屋 ONCE！

「大きくなったな、娘よ…。」
「…えっ…？」
「君は父親の姿を見たことがないだろう？…私が、君の父親だ。」
母から「鯉ヶ島匠という人物が私を騙した」というのは、母が自殺する直前に電話で聞いた。
だから私は、その名前の人物を探した。
そして…恋人屋を見つけた。
「嘘…。」
「本当だ。私が君の父親だということも、私が叶子…君の母親を騙した、ということも。」
私はその場に立ち尽くすしかなかった。
「…すまない。許してくれ、この通りだ…！」
社長は正座したかと思うと、そのまま手と頭を地面に着けた。
私は、大人が土下座をする姿を初めて見た…。
その姿には反省の色が強く表れている。そう思った私は、社長に言った。
「…じゃあ、ちゃんと罪を償って、ちゃんとした人になって下さいね、お父さん。」