㈱恋人屋 ONCE!
今まで、お母さんの一件もあって自粛していたもの、それは恋愛。
だから私はいつもの癖で、この感情を押し殺そうとしていた。
だがそんな私の意図とは反対に、どんどん感情が膨れ上がってくる。
心臓すらも圧迫しているのか、胸の鼓動をこれほどまでになく意識している。
私はとうとう体の中に抑えきれずに、言ったのだった。
「…あのさ、菜月くん。」
「ん?」
「私…。」
相変わらず胸は高鳴っている。緊張して、思うように口が動かない。うかつに喋ると、変なことを言ってしまいそうな気さえする。
それでも私は、どうにか頑張った。頑張り方を知らない私の不器用な頑張りだったけど、どうにか…。
「菜月くんのことが…好き。」
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