㈱恋人屋 ONCE!
「…は?」
ある程度予想はついていたリアクションだった。だって突然「好き」なんて言われたら…誰でもびっくりしてしまうに違いない。体験したことのない私が言うのも何だけど、私なら…そうなってしまいそうだ。
「…。」
言葉が続かず、私はただ顔を赤らめてうつむくしかなかった。
「…紗姫。」
菜月くんが口を開く。
その時また、感情が膨れ上がってきた。ただしそれは、さっきとは違う感情。
もしかしたら私の気持ちに応えてくれるかもしれない、という淡い期待。
応えてくれないかもしれない、という不安。
大丈夫、この恋は実るはず、というかすかな希望。
そう簡単に実るわけないよね、という諦め。
四つの感情が私の体でぐるぐると流転する中、菜月くんの次の言葉が発せられた。
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