㈱恋人屋 ONCE!
「どういうことですか?」
「ここって、お客様に恋愛体験をしてもらうための会社でしょ?なのに社内で恋愛しちゃったら、うまく仕事が手に着かないんじゃないかな…。」
「いや、だからそんなことはないんですって…。」
「でもね。」
京子先輩が私の方に近づき、私の耳に唇を寄せた。
「菜月くんは、なかなかいい男だとは思うわよ?紗姫ちゃんもカワイイし、個人的にはむしろ応援してる。」
今までに感じたことのない感情が私の胸に芽生える。…いや、感じようとしなかっただけなのかも…。
「さぁさぁ皆、仕事仕事。」
「あの…。」
菜月くんが頭をかきながら言う。
「今日って、確か俺達の営業日じゃなかったですよね?」
「そうよ。だけど、事前に予約するお客様もいるから、その応対とかいろいろやらないとね。」
私達は荷物をデスクの下に置いた。そして、目の前のパソコンを起動させた。
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