㈱恋人屋 ONCE!
「明後日の朝から、夜七時までか…。よし、じゃあスケジュール帳にメモしとこっと…。」
スケジュール帳を下から出す。その時、何かが落ちた音がした。
「?」
見ると、私の後ろにボールペンが落ちていた。
「誰の…?」
とりあえずは拾おうと思い、手を伸ばした。だがそこには、もう一つの手があった。
「あ…。」
菜月くんの手に、私の手が触れる。大きくて、握りやすそうな手。
「ひゃっ、ご、ごめんっ!」
私は急いで手を離そうとしたが、菜月くんにその手を掴まれた。
「へ…?」
「…何だ、拾ってくれるんじゃなかったのかよ…。」
「二人とも、仲いいわね。」
こちらの様子を見ていた京子先輩が言う。
「だから、付き合ってなんかいません!」
「だから、付き合ってなんかいません!」
私の口と菜月くんの口が、同時に同じ形に動いた。
「やっぱりね…。」
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