㈱恋人屋 ONCE!
「だから、こういうのはサービスが遅いっていうことなんじゃないですか?」
「お客様、おっしゃってる意味がよく…。」
そのジャックくんは、店員さんと言い合っていたのだ。
「ちょっと、も~…。」
私も人波をかき分け、ジャックくんの方へと向かう。
「ジャックくん、何してるの?」
「何って、当然のことを言ってるだけですよ?」
「…頭痛くなってきた…とにかく、一回列に戻ろう?ね?…あ、店員さん、すいませんでした…。」
「は、はぁ…。」
困惑気味の店員さんを尻目に、私達は列の最後尾に戻った。
「何でですか?」
「それはこっちのセリフよ…。」
「僕はただ、行列ができるまで客を待たせるなんてサービスが遅くないかって言おうとしただけです…。」
「えっと…それはアメリカでの常識なわけ?」
「え?世界の常識なんじゃないですか?」
「はぁ…。」
ジャックくんに日本の常識を説明している間に、私達の順番が回ってきた。
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