㈱恋人屋 ONCE!
「やっぱり…紗姫さんも日本人なんですね。」
「どういうこと…?」
「自分に…自信が持ててない…。」
ハッとした。
そうなのだ。私は、自分に自信が持てずにいた。
だから、マンガやアニメに興味がないと言えず、店員さんにクレームを言うこともできなかったのだ。
「『日本の食文化を喜んでもらって嬉しい』って言ってもらった時、嬉しかったんです。ちょっとだけでも、自信が持てたんだなって。…でも、やっぱり変わらないんですね。」
「…。」
「じゃあ、そろそろ行ってきます。」
ジャックくんが私に背を向けて歩き出す。私は何も言えず、何も出来ず、ただ立ち尽くすばかりだった。
「待って!」
やっと出た、私の言葉。
「これ…受け取って!」
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