㈱恋人屋 ONCE!
「…おう。」
「私…馬鹿だよね。無理して誰かを守って、それで自滅しちゃって…。」
「確かにな。」
「でも…私にできるのは、こんなことくらいだから…。」
「…紗姫はさ。」
菜月くんは何かを決意したかのように言った。
「もうちょっと、自信持ったほうがいいと思うぜ。」
「…?」
「お前は『自分にはこれだけのことしかできない』とか思ってるかもしれないけど、紗姫には紗姫にしかできないことがあると思うぜ?今の紗姫は、それを発見できてないだけ。だから…紗姫は、今のままでいいんだ。」
私の目からは、また涙が流れていた。この一週間で、何回か泣いている。
「…って紗姫、泣いてんのか?」
「…別にっ。」
一応強がってはみるものの、それでも涙は頬を伝う。
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